最近、巷で話題になっている自分専用AIを作成できるGoogle NotebookLMを使ってみました。その中でAIにとって重要なことや、人間とNotebookLMの違いについていろいろと考える機会がありました。今回は、その考えを皆さんと共有したいと思います。
NotebookLMは使い方次第で非常に便利なツールになると感じました。これから自分専用のAIを作りたい方や、大量の情報から必要な情報を抽出したい方にとって、参考になる内容だと思います。
ぜひ、最後までご覧いただけると幸いです。
NotebookLMの概要
NotebookLMは、ユーザーがアップロードしたソース(テキストやWeb URL)に基づいて質問への回答や情報整理を支援するツールです。 特に、ソースの選択とフォーカス機能により、ユーザーはAIの注目範囲を調整し、必要な情報だけを引き出すことができます。 また、 NotebookLMは、情報要約、箇条書き作成、関連アイデアの提案など、ユーザーの読解や文章作成を多岐にわたってサポートします。 さらに、ノート作成機能では、ユーザー自身のメモとAIからの回答を組み合わせて、アウトラインやスタディガイドなどの形式に整理することが可能です。
NotebookLMのソース
NotebookLM では、以下の素材をソースとして使用することができます。
- Google ドキュメントやスライド
- テキストファイル
- Web URL
このように、さまざまなソースをアップロードできます。
ソースの注意事項
- 各ソースには最大 500,000 語を含めることができます。
- 個人情報や機密情報(氏名、住所、電話番号など)を含むドキュメントのアップロードは避けます。
- 適切な権限を持たない文書をアップロードしてはいけません。
- NotebookLM は、Google スライドとドキュメントに含まれる画像、スライド、グラフ、図をサポートするようになりました。
- 各ノートブックには、最大50個のソースと1,000個のノートを含めることができます。
NotebookLMの特徴
NotebookLMには、以下のような特徴があります。
- アップロードしたソースの要約や質問候補を自動生成する「Notebook Guide」、ソースの内容に基づいた質問に対する回答と引用元を提示する「質問応答」、モデルの応答や既存のメモから新しいメモを作成する「メモ機能」などの機能があります。
- NotebookLM の重要な特徴は、モデルにもっとクリエイティブな依頼を明示的にしない限り(例えば、「短編小説の結末を書き直す」など)、チャット応答ではソースからのデータのみが使用されることです。そのため、「NotebookLM はこの質問に答えられません。言い換えるか、別の質問をしてください」というチャット応答が返される場合があります。
- 個別にカスタマイズされた作業の流れを作ることができます。いろいろな情報やタスクをノートブックにまとめて、プロジェクトごとに管理できます。AIアシスタントが作業を手伝ってくれるので、効率的に情報を整理できます。また、GoogleドキュメントやGoogleスライドなど、他のGoogle製品とも簡単に連携できます。
NotebookLMを使って思ったこと
今回、私は、いつも自分が勉強や情報収集を行っているサイバーセキュリティに関するドキュメントやWebページをNotebookLMのソースとして使用しました。URLは以下になります。
基となっているソースは、NIST(米国国立標準技術研究所)やIPA(独立行政法人情報処理推進機構)のドキュメント、ランサムウェア被害を受けた企業がリリースしたドキュメント、各省庁が公表している資料などを使用しています。
ここで、実際に、NotebookLMに、例えば、「企業のサイバーセキュリティ対策方法について教えてください」と質問をすると下記の回答があります。
企業のサイバーセキュリティ対策には、多層的なアプローチが不可欠です。 ソースから得られる重要なポイントは以下のとおりです。
- リスクアセスメントの実施: 組織は、潜在的な脅威、脆弱性、およびそれらがもたらす可能性のある影響を特定するために、包括的なリスクアセスメントを実施する必要があります。
- リスクアセスメントは、組織レベル、ミッション/業務プロセスレベル、情報システムレベルの3つのレベルで実施する必要があります。
- 想定されるインシデントをリストアップし、それらを検知するための技術的方法や運用方法を検討する必要があります。
- 適切なセキュリティ管理策の導入: リスクアセスメントの結果に基づいて、組織は、特定されたリスクを軽減するために、適切なセキュリティ管理策を導入する必要があります。
- これらの対策には、アクセス制御、暗号化、脆弱性管理、インシデントレスポンス計画などが含まれます。
- 組織は、これらの対策が効果的に機能していることを確認するために、定期的にテストと見直しを行う必要があります。
- サプライチェーンセキュリティの強化: 企業は、サプライチェーン全体でセキュリティ対策を強化する必要があります。なぜなら、サプライチェーン攻撃は、組織の基幹業務に深刻な影響を与える可能性があるからです。
- サプライチェーンセキュリティを強化するために、組織は、取引先との間で秘密保持契約を締結したり、取引先での秘密情報の取扱いを制限したりするなどの対策を講じることができます。
- 従業員教育の重要性: セキュリティ意識を高め、セキュリティに関する知識やスキルを向上させるために、従業員に対して定期的なセキュリティ教育を実施することが重要です。
- セキュリティ教育は、フィッシング対策、パスワード管理、ソーシャルエンジニアリング対策など、さまざまなトピックを網羅する必要があります。
- 継続的な改善: サイバーセキュリティの脅威は常に進化しているため、組織は、セキュリティ対策を継続的に改善していく必要があります。
- 最新の脅威情報を入手し、セキュリティ対策を適宜見直す必要があります。
リスク対応の選択肢には、回避、軽減、移転、保有などがあります。 組織は、リスクアセスメントの結果に基づいて、それぞれのリスクに対して、どの対応策が最も適切かを判断する必要があります。 例えば、地震が多い地域に事業所を新設する場合、地震によるリスクを回避するために、事業所の新設を中止するという選択肢があります。 一方、市場拡大のために営業所を増設する場合、営業所からの情報漏えいのリスクが増加しますが、このリスクを受け入れるという選択肢もあります。
これらの対策を講じることで、企業はサイバーセキュリティリスクを軽減し、事業の継続性を確保することができます。
重要な注意点:
Google NotebookLM
- 上記の情報は、提供されたソースに基づいています。
- 特定の状況における最適なセキュリティ対策は、組織の規模、業種、リスク選好度などによって異なる場合があります。
この文章を読んで、皆さんはどう感じましたか?私は率直に、分かりにくいと感じました。一方、同じ質問をGoogle Geminiにすると、以下のような回答が得られます。
企業のサイバーセキュリティ対策方法について
企業のサイバーセキュリティ対策は、日進月歩のサイバー攻撃に対応するため、多岐にわたる対策を組み合わせることが重要です。以下に、主要な対策方法をいくつかご紹介します。
1. 組織的な対策
- セキュリティポリシーの策定と周知徹底:
- 企業全体のセキュリティ方針を明確化し、全社員に周知徹底します。
- パスワードポリシー、情報漏洩対策、端末の利用規定などを具体的に定めます。
- 社員教育の徹底:
- フィッシング詐欺やマルウェア感染などの手口、最新の情報セキュリティに関する教育を定期的に実施します。
- サイバー攻撃に対する意識を高め、適切な行動を促します。
- インシデント対応計画の策定:
- サイバー攻撃が発生した場合の対応手順を事前に定めておき、迅速な対応を可能にします。
- 関係各部署の役割分担や連絡体制を明確化します。
2. 技術的な対策
- ネットワークセキュリティ:
- ファイアウォール、侵入検知システム (IDS)、侵入防止システム (IPS) を導入し、外部からの不正アクセスを防ぎます。
- VPN (仮想私設網) を利用し、リモートワーク時のセキュリティを強化します。
- エンドポイントセキュリティ:
- アンチウイルスソフト、マルウェア対策ソフトを導入し、端末への感染を防ぎます。
- 脆弱性管理を行い、OSやアプリケーションの脆弱性を早期に修正します。
- データの暗号化:
- 重要なデータを暗号化し、万が一データが漏洩した場合でも、第三者に内容を解読されにくくします。
- 多要素認証 (MFA):
- パスワードに加えて、別の認証要素 (生体認証、ワンタイムパスワードなど) を要求することで、アカウントの不正利用を防ぎます。
- バックアップ:
- 重要なデータを定期的にバックアップし、万が一データが損失した場合でも復旧できるようにします。
3. その他
- サプライチェーンセキュリティ:
- ビジネスパートナーやサプライヤーに対するセキュリティ対策も重要です。
- 契約書にセキュリティに関する条項を盛り込むなど、対策を講じます。
- クラウドセキュリティ:
- クラウドサービスを利用する場合は、サービス提供者のセキュリティ対策を確認し、適切な設定を行います。
- 継続的な見直しと改善:
- サイバー脅威は常に進化するため、定期的にセキュリティ対策を見直し、改善していくことが重要です。
具体的な対策例
- 社員向けセキュリティ意識啓発研修:
- シミュレーション形式の研修で、フィッシングメールの見分け方やパスワードの作り方などを学習します。
- 多要素認証の導入:
- Google Authenticator や Microsoft Authenticator などの認証アプリを利用することで、アカウントのセキュリティを強化します。
- エンドポイント保護プラットフォーム (EPP) の導入:
- 複数のセキュリティ機能を統合し、より包括的な保護を実現します。
- 定期的なパッチ適用:
- OSやアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃を防ぐため、定期的にパッチを適用します。
- セキュリティ監査の実施:
- 第三者によるセキュリティ監査を実施し、自社のセキュリティレベルを客観的に評価します。
ご希望に応じて、より詳細な情報や、貴社の状況に合わせた具体的な対策をご提案することも可能です。お気軽にご質問ください。
以下のような点について、詳しくお聞かせいただけると、より的確なアドバイスができます。
- 貴社の規模や業種
- 現在のセキュリティ対策状況
- 懸念しているセキュリティリスク
ご不明な点があれば、遠慮なくお問い合わせください。
Google Gemini
この2つの文章を比較すると、NotebookLMはソースとなる文章を組み合わせて作成しているだけで、人間にとって理解しにくい内容になっています。
一方、Google Geminiの回答は、人間にとって理解しやすい内容になっています。ただし、Geminiには生成した文章をもう一度チェックし、間違いがないか確かめることができる「回答を再確認」という機能があります。この機能を使うと、上記の回答で正しい内容は以下の通りです。
Google Gemini
- フィッシング詐欺やマルウェア感染などの手口、最新の情報セキュリティに関する教育を定期的に実施します。
- ファイアウォール、侵入検知システム (IDS)、侵入防止システム (IPS) を導入し、外部からの不正アクセスを防ぎます。
- VPN (仮想私設網) を利用し、リモートワーク時のセキュリティを強化します。
- アンチウイルスソフト、マルウェア対策ソフトを導入し、端末への感染を防ぎます。
- Google Authenticator や Microsoft Authenticator などの認証アプリを利用することで、アカウントのセキュリティを強化します。
NotebookLMは、ソースとなる文章を組み合わせることで回答を生成するため、根拠が明確であり、信頼性の高い情報提供が可能です。しかし、生成される回答は、必ずしも人間が直感的に理解しやすい形式とは限りません。これは、NotebookLMが、あくまでもソース情報を組み合わせているという特徴によるためです。
一方、GeminiやChatGPTのような一般的な大規模言語モデルは、人間が理解しやすい自然な文章を生成することに長けています。しかし、これらのモデルは、必ずしも正確な情報を提供できるとは限りません。
これらのAIの特徴から、AIが人間に役立つためには、正確な情報に基づいて、人間が理解しやすい形で情報を伝えるという点が重要だと考えられます。この点において、NotebookLMは、正確な情報提供という点では優れていますが、人間への理解度という点では改善の余地があります。
また、NotebookLMは、質問の表現が曖昧だと、意図した回答を得られないという課題も抱えています。つまり、質問の正確性が、回答の質に大きく影響するということです。
結論
NotebookLMは、正確な情報源と適切な質問があれば、非常に有用なツールとなる可能性を秘めています。しかし、現在のところ、人間との自然な対話や、複雑な質問への対応については、さらなる改善が必要だと考えられます。
今後、NotebookLMにアップデートがあり、質問の回答精度が劇的に向上したら、再度試して皆さんと共有したいと思います。
まとめ
本日は、下記4点について説明しました。
- NotebookLMの概要
- NotebookLMのソース
- NotebookLMの特徴
- NotebookLMを使って思ったこと
NotebookLMは、現段階ではまだ多くの改善余地があるAIだと考えています。しかし、質問の仕方を正確にすれば、多くの情報から必要な情報を抽出するAIとして非常に優秀です。皆さんも、使い方を理解して活用するようにしましょう。
これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!
それでは、次回のブログで!