今回は、Professional Security Operations Engineer 認定試験の学習内容として、Google Security Operations(Google SecOps)に搭載された生成AI「Gemini」の主要機能を解説します。
Geminiは、YARA-Lルールの自動生成、ケース要約や調査支援、Google検索によるグラウンディングなど、SOC運用を効率化するさまざまな機能を提供します。
これらは実際のセキュリティ運用で役立つだけでなく、認定試験でも重要な出題ポイントです。本記事では、それぞれの機能の仕組みや活用方法を分かりやすく紹介します。
是非、最後までご覧いただけると嬉しいです。
Google SecOpsのGeminiでYARA-Lを自動生成
Google SecOps の検出エンジンにおいて、脅威を検知するための核となるのが、機能豊富なプログラミング言語である YARA-L 2.0 です。従来、高度な検出ルールを作成するにはこの専用構文の習得が必要でしたが、Gemini in Google SecOps の導入により、AI を活用したルールの自動生成が可能になりました。YARA-Lは、Googleのセキュリティ分析プラットフォームGoogle SecOps(旧Chronicle)で脅威検出(検出ルール)やログ検索を行うために開発された、専用のシグネチャ・クエリ言語です。
自然言語による直感的なルール作成
Gemini を使用すると、自然言語のプロンプト(指示文)から YARA-L ルールを直接生成できます。
- 構文知識の補完:アナリストは複雑な構文を完全に把握していなくても、「過去 1 時間に特定の不審なドメインへのアクセスが複数回発生した場合」といった意図を伝えるだけで、AI が正確な YARA-L コードを構築します。
- 迅速な展開:構文エラーの修正やドキュメントの参照に費やす時間を大幅に削減し、新たな脅威への対策を即座にルールとして実装できます。
調査から検出へのシームレスな移行
Gemini のルール生成機能は、調査プロセスと密接に統合されています。
- UDM 検索からの変換:Gemini は、自身が生成・実行した UDM 検索クエリから新しい YARA-L ルールを作成することが可能です。
- パターンの永続化:調査中に発見した不審なイベントのパターンを、ワンストップで永続的な検出ルールへと昇華させることができます。
セキュリティに特化した AI モデル「SecLM」
この高度な自動生成機能を支えているのが、Google の SecLM プラットフォームです。SecLM は、以下のセキュリティ専門データセットを使用してトレーニングされています。
- セキュリティブログや脅威インテリジェンスレポート
- 膨大な数のYARA およびYARA-L 検出ルール
- マルウェアスクリプトや脆弱性情報
このようにセキュリティに特化した知識ベースを持つことで、Gemini は現場の文脈に即した、実用的で精度の高い検出ルールを提案できます。
生産性の向上と SOC の強化
Gemini によるルールの自動生成は、ジュニアアナリストのスキル底上げに貢献するだけでなく、熟練アナリストを定型的なコーディング作業から解放します。Google SecOps は AI と YARA-L を融合させることで、「検出までの時間(MTTD)」を短縮し、組織全体の防御力を最大化します。
Google SecOpsのGeminiでYARA-Lを自動生成のまとめ
Google SecOps を活用することで、自然言語からYARA-L 2.0の検出ルールを自動生成できるようになり、検出ルールの作成を大幅に効率化できます。さらに、UDM検索結果をそのままYARA-Lルールへ変換できるため、調査から検出までをシームレスに実施できます。また、SecLMによるセキュリティ特化型AIを活用することで、実践的かつ高精度なルール作成が可能です。本機能はSOC運用の生産性向上だけでなく、Professional Security Operations Engineer認定試験でも重要な学習ポイントとなるため、ぜひ理解しておきましょう。
Google SecOpsのAIケース要約と調査支援
Google SecOps は、Google の最先端 AI である Gemini を活用し、膨大なセキュリティ・アラートのトリアージと調査を劇的に効率化します。その中核となるのが、AI によるケースの自動要約と、アナリストが取るべき「推奨される次のステップ」の提示機能です。
Gemini ケース概要ウィジェット:一目で状況を把握
Google SecOps のケース管理画面には 「Gemini ケース概要ウィジェット」 が統合されています。
- 迅速な状況把握:Gemini がケース内のアラートやイベントを即座に分析し、何が起きているのかを自然言語で要約します。これにより、アナリストは複雑なログを一つずつ読み解く時間を大幅に短縮できます。
- 修復の提案:単なる要約に留まらず、発生している問題を解決するための具体的な提案も表示されます。
TIN(トリアージ・調査エージェント)との連携
高度な AI エージェントである TIN を活用することで、要約機能はさらに強力になります。
- 自律的な判定:TIN はアラートを分析し、それが「真陽性(TP)」か「偽陽性(FP)」かを自律的に判定します。
- 推論プロセスの提示:Gemini は判定結果とともに、どのような証拠に基づき、どういう推論を経てその結論に至ったかの詳細な説明(概要の説明)を提供します。
- シームレスな統合:Enterprise パッケージ以上では、これら TIN の判定結果と概要がケース概要ウィジェットに直接統合されるため、アナリストは画面を切り替えることなく迅速に対応を判断できます。
推奨される次のステップ:調査の迷いをなくす
AI は調査の「結論」を出すだけでなく、「次に行うべきこと」をガイドしてくれます。
- 追加調査の提案:すべての調査において、Gemini は「推奨される次のステップ」を提示します。これには、アナリストが追加で調査すべき具体的なアクションや、参照すべきデータソースが含まれます。
- インシデント修復の加速:収集されたイベント情報に基づき、Gemini は後続のステップを提案することで、インシデントの修復(レメディエーション)を支援します。
Alert Response Recommender(試験運用版)
Google SecOps Labs で提供されている Alert Response Recommender は、LLM(大規模言語モデル)を用いて過去の履歴データを分析し、以下の推奨事項を提供します。
- アナリストの対応:推奨される手動の調査手順。
- コンテンツ ハブのアクション:実行すべき自動化アクションの提案。
- クローズの推奨事項:アラートを閉じる際の理由(根本原因)の候補。
AI によるケース要約と次のステップの提示は、経験の浅いアナリストのスキルを補完するだけでなく、熟練アナリストの意思決定を加速させ、SOC 全体の「平均対応時間(MTTR)」の短縮に大きく貢献します。
Google SecOpsのAIケース要約と調査支援のまとめ
Gemini in Google SecOpsは、ケース内のアラートやイベントをAIが自動で要約し、状況把握やインシデント対応を大幅に効率化します。さらに、TINと連携することで、真陽性・偽陽性の判定理由や推論過程、推奨される次のステップまで提示し、迅速な意思決定を支援します。また、Alert Response Recommenderを活用することで、調査手順や自動化アクションの提案も受けられ、MTTRの短縮につながります。これらの機能は、Google SecOpsの実運用だけでなく、Professional Security Operations Engineer認定試験でも重要なAI活用機能として理解しておきたいポイントです。
Google SecOpsで学ぶグラウンディング機能
Google SecOpsに搭載された Gemini は、単に学習済みの知識を提示するだけでなく、Google 検索を活用した「グラウンディング(根拠付け)」を行うことで、極めて鮮度が高く、信頼性の高い回答を実現しています。この記事では、AI の回答に確かな裏付けを与えるグラウンディングの仕組みとその利点について解説します。
インターネット上の最新情報を回答にリンク
グラウンディングとは、AI モデルの回答をインターネット上のリアルタイムな情報と結び付けるプロセスです。
- 最新のコンテキスト:セキュリティの脅威は刻一刻と変化します。グラウンディングにより、Gemini は学習データに含まれていない最新の脅威情報や脆弱性、攻撃手法をインターネットから取得し、調査に反映させることができます。
- 高品質な回答:インターネット上の広範な情報を参照することで、プロンプトに対してよりニュアンスに富んだ、精度の高い回答を提供することが可能になります。
透明性を確保する3つの視覚的要素
Gemini が Google 検索を使用して回答を生成した場合、ユーザーはそのプロセスと根拠をウェブインターフェース上で詳細に確認できます。これにより、AI の「ブラックボックス化」を防ぎ、調査の透明性を確保します。
- Google G アイコン:Gemini がプロンプトの追加コンテキストを取得するためにインターネットに接続したことを示します。
- 検索クエリチップ:Gemini が情報を取得するために実際に使用した正確な検索クエリが表示されます。
- 引用:回答の作成に使用された特定のデータソース(ウェブサイトなど)への参照が表示されます。
説明可能性の向上と情報の検証
グラウンディングと引用の最大のメリットは、「説明可能性(Explainability)」の向上にあります。 アナリストは、表示された検索クエリや引用元を確認することで、Gemini がどのような手順で調査を行い、どの情報を根拠に結論を出したのかを正確に把握できます。これにより、AI が生成した回答を人間が容易に検証でき、自信を持って次の対応ステップへと進むことが可能になります。
幅広い調査への応用
この機能は、特定のセキュリティ事象の調査だけでなく、SOC 業務全般で活用できます。
- 脅威インテリジェンスの分析:特定の脅威アクターや IoC(侵害インジケーター)に関する最新情報を Google 検索から取得し、要約します。
- セキュリティ知識の補完:一般的なセキュリティドメインに関する質問に対し、最新の業界動向を踏まえた回答を提供します。
- 製品操作のガイド:「フォワーダーの構成方法」といった Google SecOps 自体の操作に関する質問に対しても、公式ドキュメントや関連情報を参照して要約を提供します。
Google 検索のグラウンディング機能は、AI のスピードと Google 検索の圧倒的な情報網を融合させることで、アナリストが常に正確かつ最新の情報に基づいた意思決定を行える環境を提供します。
Google SecOpsで学ぶグラウンディング機能のまとめ
Google SecOpsのGeminiは、Google検索によるグラウンディングを活用することで、最新かつ信頼性の高い情報に基づいたAI回答を提供します。検索クエリや引用元が明示されるため、回答の根拠を確認でき、AIの透明性や説明可能性も向上します。また、脅威インテリジェンスの調査や製品ドキュメントの参照など、SOC運用に必要な情報を迅速かつ正確に取得できる点も大きなメリットです。本機能は、Google SecOpsの実運用だけでなく、Professional Security Operations Engineer認定試験で問われるGeminiの特徴やAI活用の仕組みを理解する上でも重要なポイントとなります。
まとめ
今回は、下記3点について説明しました。
- Google SecOpsのGeminiでYARA-Lを自動生成
- Google SecOpsのAIケース要約と調査支援
- Google SecOpsで学ぶグラウンディング機能
今回は、Google SecOpsにおけるGeminiの主要機能として、YARA-Lルールの自動生成、AIによるケース要約と調査支援、Google検索を活用したグラウンディングについて解説しました。
これらの機能を活用することで、検出ルールの作成からインシデント対応、脅威調査までを効率化し、SOC全体の生産性を大きく向上させることができます。また、AIが提示する回答の根拠や推奨アクションを確認できるため、迅速かつ信頼性の高い意思決定も可能になります。
これらの機能はGoogle SecOpsの実運用だけでなく、Professional Security Operations Engineer認定試験でも重要な学習項目ですので、ぜひ理解を深めておきましょう。
これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!
それでは、次回のブログで!
