はじめのLinux入門講座②VirtualBoxを使用して仮想マシンにLinuxをインストールする方法について説明します!

インフラ

今回は、Linux 入門講座の第 2 回目です。VirtualBox を使って、仮想マシンに Linux をインストールする方法を説明します。

前回の記事では、Linuxの基本的な知識について説明しました。しかし、実際にLinuxを試してみないと具体的なイメージが湧きにくいでしょう。今回は、パソコンなどに仮想マシンを作成できるVirtualBoxを使い、Linuxを実際にインストールしてみます。

Google Cloudなどのクラウドサービスでは、最初からLinuxをインストールすることはできません。 一方、パソコンやサーバーにLinuxをインストールする場合は、インストールウィザードを確認しながら手順を進めていきます。

VirtualBoxには「自動インストールモード」という機能がありますが、今回はこれを使わずに、最初から手動でインストールしていきます。

ぜひ、最後までご覧いただけると嬉しいです!

VirtualBoxのインストール

まずは、VirtualBoxをパソコンにインストールします。VirtualBoxは、無料で使用できます。私は、Macを使用しているので、Macのインストール方法になります。しかし、基本的には、Windowsのインストール方法も同じです。

下記、VirtualBoxのインストーラーのダウンロードサイトにアクセスします。
Oracle VM VirtualBox - ダウンロード| Oracle Technology Network | オラクル | Oracle 日本
Download the latest version of Oracle VM VirtualBox.
自分の使用しているパソコンのOSに合わせてインストーラーをダウンロードします。
Linuxの場合は、自分が使用しているディストリビューションに合わせてダウンロードします。
ダウンロードしたdmgイメージを開き、VirtualBox.pkgをダブルクリックします。ちなみに、アンインストールするスクリプトがイメージファイルの中にあるので、併せてApplicationsフォルダにドラッグ&ドロップでコピーしておきます。
ウィザードの「続ける」を選択します。
「インストール」を選択し、インストールします。

インストールが正常に完了すると、アプリケーションフォルダにVirtualBoxがインストールされます。

以上で、VirtualBoxのインストール方法の説明は終わりになります。インストールは、とても簡単です。

VirtualBoxで仮想マシンの作成

次は、VirtualBoxでLinuxをインストールするための仮想マシン(Virtual Machine)を作成します。仮想マシンは、物理マシン上に作成され、別のOSを実行できる仮想環境です。VirtualBoxを使用することで、ホストOS(WindowsやMacなど)上にLinuxをインストールし、ホストOSを変更することなく使用することができます。

まずは、LinuxのISOイメージをダウンロードします。

今回は、Debian Linuxをインストールします。下記URLにアクセスします。

Installing Debian via the Internet
[Small CDs or USB sticks]の項目の欄に、パソコンのCPUに応じてISOイメージのリンクがあります。自分が使用しているパソコンのCPUに合わせて、ISOイメージを選択します。

基本的には、「amd64」「arm64」「i386」のいずれかになります。 私はIntel CPU搭載のMac miniを使用しているため、「amd64」を選択しました。AMD製のCPUも、64ビット対応であれば「amd64」を使用します。

一方、古いCPU、例えばPentium III/4やAMD Athlon XPなどの場合は、「i386」を選択します。これらのCPUは15年以上前に発売されたものです。そのため、2010年以降に発売されたパソコンであれば、「amd64」と「arm64」のどちらを選ぶことになります。

(ちなみに、私は間違えて「i386」をダウンロードして使用しています。)

ダウンロードしたISOイメージは、後で使用します。

VirtualBoxを起動します。
「新規」を選択します。
ISOイメージの項目で、先程ダウンロードしたDebian LinuxのISOイメージを選択します。また、「自動インストールをスキップ」にチェックが入っていることを確認してください。

今回は、インストール方法について説明しますので、自動インストールは、使用しません。しかし、インストールに慣れた場合は、自動インストールを使用することをお薦めします。名前を変更したい場合は、変更してください。今回は、初期設定のまま進めます。

ハードウェアを選択します。

今回、こちらの設定は、初期設定のまま進めます。

最後に、「ハードディスク」を選択します。こちらも、初期設定で進めます。最後に「完了」を選択します。

正常に仮想マシンが作成されると、管理画面が開きます。

もし、上記管理画面が開かない場合で、下記画面になった場合は、macOSのセキュリティ設定を変更する必要があります。

上記画面のように「マシンフォルダーを上書きできません」のメッセージが表示される場合、考えられる原因は2つあります。

1つ目は、システム環境設定のセキュリティ設定です。システム環境設定を開き、「セキュリティとプライバシー」を選択します。
「フルディスクアクセス」を選択し、左下の鍵アイコンを選択し、管理者パスワードを入力します。
「VirtualBox.app」のチェックを入れます。「VirtualBox」が表示されない場合、左下の「+(プラス)」マークを選択し、アプリケーションフォルダから「VirtualBox」を追加します。

チェックを入れた時に、アプリケーションの再起動を促されるので、再起動してください。

上記方法で改善しない場合、VDI(イメージファイル)を保存する内蔵ディスクの保存先に、既に同名のVDIが保存されている可能性があるので、VDIのファイル名を変更してください。おそらく、このどちらかが原因の可能性があります。私の場合、この2つが原因で、イメージファイルであるVDIが保存できませんでした。

以上で、ViutualBoxで仮想マシンの作成は終わりになります。

Linuxのインストール

次に、Linuxのインストール方法について説明します。

VirtualBox マネージャーで「起動」をクリックし、「通常起動」を選択します。
「Install」を選択します。
言語設定で、「Japanese - 日本語」を選択し、return(Enter)キーを押します。
時間帯の場所の設定で「日本」を選択し、return(Enter)キーを押します。
キーボードの設定で「日本語」を選択し、return(Enter)キーを押します。

Linuxコンポーネントのロードが始まります。

ホスト名を入力します。

任意ですので、好きな名前を設定してください。ここでは「debian-vm」にしています。入力後、「続ける」を選択しreturn(Enter)キーを押します。

ドメインの設定を行います。とくになければ空欄のまま、「続ける」を選択し、return(Enter)キーを押します。
root(システム管理者)のパスワード設定を行います。任意でパスワードを設定してください。入力後、「続ける」を選択し、return(Enter)キーを押します。
rootパスワードの確認画面が表示されるので、先程入力したパスワードを入力し、「続ける」を選択し、return(Enter)キーを押します。
一般ユーザー(非管理者権限)のユーザー名を設定します。任意でユーザー名を入力後、「続ける」を選択し、return(Enter)キーを押します。
一般ユーザーのパスワードを設定します。入力後、「続ける」を選択し、return(Enter)キーを押します。
パスワードの確認画面が表示されるので、先程設定したパスワードを入力後、「続ける」を選択し、return(Enter)キーを押します。
ディスクのパーティショニングの設定を行います。今回は、初期設定の「ガイド - ディスク全体を使う」を選択しますが、その他の設定方法については、下記で記載します。選択後、return(Enter)キーを押します。
  • ガイド - ディスク全体を使う
  • ガイド - ディスク全体を使い LVM をセットアップする
  • ガイド - ディスク全体を使い、暗号化 LVM をセットアップする
  • 手動

各設定の説明を以下に記載します。

ガイド - ディスク全体を使う

説明

このオプションでは、ディスク全体を自動的にパーティショニングし、標準的な構成でLinuxをインストールします。通常、ルート (/)、スワップ、/home などのパーティションが自動的に作成されます。

使用例

  • 初心者向け:パーティショニングの知識がなくても簡単にインストールできる。
  • 単一OS環境:Linuxのみを利用し、他のOSとデュアルブートしない場合に適している。
  • シンプルなシステム:特に細かいディスク管理が不要な場合に最適。

ガイド – ディスク全体を使い LVM をセットアップする

説明

LVM(Logical Volume Manager)を使用して、ディスク全体を柔軟に管理できるように設定します。LVMは、複数の物理ディスクを1つの論理ボリュームとして扱い、ディスク容量の拡張や縮小が容易になる仕組みです。

使用例

  • サーバー用途:システムのアップグレードやストレージ管理がしやすいため、サーバー環境に向いている。
  • システムの拡張を想定している場合:後からディスク容量を柔軟に変更できる。
  • 複数のストレージデバイスを統合したい場合:複数の物理ディスクを1つのボリュームグループとして管理可能。

ガイド – ディスク全体を使い、暗号化 LVM をセットアップする

説明

LVMを使用しつつ、ボリューム全体を暗号化するオプションです。インストール後、OS起動時にパスフレーズを入力することで暗号化されたディスクの復号が行われます。これにより、ディスクのデータが物理的に盗まれた場合でも、内容を読み取られにくくなります。

使用例

  • 企業や政府機関のシステム:データ保護が義務付けられている環境に適している。
  • セキュリティを重視する場合:個人情報や機密データを扱う環境で有効。
  • モバイル端末やノートPC:盗難や紛失時にデータ漏洩のリスクを低減できる。

手動

説明

ユーザーが自由にパーティションを設定できるオプションです。ルート (/)、/home、スワップ、/boot などのパーティションを手動で作成・割り当てることができます。RAIDや特定のファイルシステムを使用する場合にも、このオプションを選択する必要があります。

使用例

  • 特定のファイルシステムを選びたい場合:ext4 以外の XFS や Btrfs などを使用する場合。
  • 高度なカスタマイズをしたい場合:特定のパーティションレイアウトが必要な場合に最適。
  • マルチブート環境:Windowsや他のLinuxディストリビューションと共存させる際に適している。
  • RAID構成を利用する場合:複数のディスクをRAIDで設定する際に使用。
パーティショニングするディスクを選択します。そのまま、return(Enter)キーを押します。
パーティショニング機構を選択します。今回は、「すべてのファイルを1つのパーティションに(初心者ユーザーには推奨)」を選択します。return(Enter)キーを押します。

各パーティショニング機構の説明を以下に記載します。

すべてのファイルを1つのパーティションに

説明

この方式では、システムのすべてのファイル (/ ルートパーティション、/home、/var、/tmp など) を1つのパーティションに統合します。スワップ領域を別途確保する場合を除き、特定のディレクトリを分割しません。

使用例

  • 初心者向け・簡単な設定:インストールがシンプルで、パーティション管理の手間が不要。
  • 小規模システムやテスト環境:少量のストレージでシンプルに運用したい場合に適している。
  • ディスク容量が少ない場合:全領域を柔軟に使えるため、ストレージの無駄が少ない。

デメリット

  • 特定のディレクトリが肥大化すると、システム全体の空き容量が圧迫される。
  • /var や /tmp の急激な容量増加が、システム全体の動作に影響を及ぼす可能性がある。

/home パーティションの分割

説明

この方式では、ユーザーデータが保存される /home を独立したパーティションとして分割します。OSのシステムファイルは / に配置され、ユーザーごとのデータは /home に保存されます。

使用例

  • マルチユーザー環境:各ユーザーのデータが独立し、システムの影響を受けにくい。
  • OSの再インストールを考慮する場合:/home を独立させることで、OSを再インストールしてもユーザーデータを保持できる。
  • 個人PCやワークステーション:ユーザーデータの管理を分離することで、データの安全性を高められる。

デメリット

  • /home の容量を事前に決める必要があり、システムの利用状況によっては調整が難しい。
  • 他のディレクトリと比べて /home の使用量が極端に少ない場合、未使用の領域が無駄になることがある。

/home /var /tmp パーティションを分割

説明

この方式では、/home に加えて、ログやキャッシュが保存される /var、一時ファイルを格納する /tmp も独立したパーティションとして分割します。これにより、特定のディレクトリの容量増加がシステム全体に影響を与えることを防ぎます。

使用例

  • サーバー環境:/var にログやデータベースが保存されるため、急激な容量増加からシステムを守れる。
  • セキュリティを強化したい場合:/tmp を分離することで、一時ファイルを含む攻撃(例:シンボリックリンク攻撃)のリスクを低減できる。
  • 長期間運用するシステム:システムの安定性と管理性を高めるため、適切なパーティション分割が求められる。

デメリット

  • パーティション間で容量の調整が必要な場合、再構成が難しくなることがある(特にLVMを使用しない場合)。
  • 設定が複雑になり、適切な容量配分を事前に考える必要がある。
ディスクへの書き込みを実施するため、return(Enter)キーを押します。
ディスク書き込みの確認メッセージが表示されるので、「はい」を選択し、return(Enter)キーを押します。

Linuxのインストールが開始されます。

パッケージマネージャを使用して追加のライブラリをインストールするために、インストールメディアの検査を促すメッセージが表示されますが、「いいえ」のままreturn(Enter)キーを押します。

パッケージマネージャは、ソフトウェアのインストール、更新、削除を簡単に行うためのツールです。

パッケージマネージャを使用してソフトウェアをインストールするために、Debianのミラーサイトの国を選択する画面が表示されます。「日本」を選択し、return(Enter)キーを押します。

ソフトウェアなどをインストールするためのDebian アーカイブミラーサーバーを選択します。日本の場合、「ftp.jp.debian.org」をお薦めします。インターネット経由であっても、海外のミラーサーバーを選択すると遅延が発生しやすくなります。そのため、地理的に近い日本のミラーサーバーを選択することで、より高速なダウンロードが可能になります。

プロキシサーバーの設定を行います。なければ空欄のまま「続ける」を選択します。
パッケージの統計情報を取得することについての確認をされるので、お好きな方を選択し、return(Enter)キーを押します。

私は、「いいえ」を選択しました。

追加でインストールするソフトウェアの選択を行います。今回は、初心者の方向けなので、デスクトップ環境をインストールします。

デスクトップ環境は、複数ありますが、特に希望がなければ、 GNOMEを選択します。初期設定のまま、「続ける」を選択します。

各デスクトップ環境の特徴

  • GNOME:シンプルで直感的なデザインを重視し、モダンなUIと拡張性を備えたLinuxの代表的なデスクトップ環境。
  • Xfce:軽量で高速、シンプルな設計ながらもカスタマイズ性に優れたデスクトップ環境。
  • GNOME Flashback:旧GNOME 2のクラシックなUIを再現し、軽量でシンプルなデスクトップ環境。
  • KDE Plasma:美しいビジュアルと高いカスタマイズ性を誇る、機能豊富なデスクトップ環境。
  • Cinnamon:GNOME 3を基にした使いやすいUIを提供し、従来のデスクトップ操作に近い環境を実現。
  • MATE:GNOME 2の伝統的なデザインを継承し、軽量ながらも直感的な操作が可能なデスクトップ環境。
  • LXDE:低スペックなPC向けに設計された、軽量でリソース消費の少ないデスクトップ環境。
  • LXQt:LXDEの後継として開発された、Qtベースの軽量で高速なデスクトップ環境。
GRUBブートローダーのインストール画面が表示されます。1台の機器に複数のOSをインストールする場合、必ずしもGRUBを使用する必要はありませんが、今回は仮想環境のため、そのまま「はい」を選択します。
GRUBをインストールするディスクを選択します。「/dev/sda」を選択し、return(Enter)キーを押します。
インストールの完了画面が表示されたら、「続ける」を選択します。

パソコンやサーバーにLinuxをインストールする際、起動デバイスの順序でCD/DVDドライブが最優先になっていると、再起動時に再びLinuxのインストーラーが起動する可能性があります。その場合は、インストールメディアをCD/DVDドライブから取り出してください。

Linuxのセットアップ

最後に、Linuxのセットアップを行います。

起動画面が表示されたら、「Debian GNU/Linux」を選択し、return(Enter)キーを押します。または、5秒待つと自動的に、「Debian GNU/Linux」で起動します。

起動プロセスが開始されます。

ログイン画面が表示されるので、自分のアカウントを選択します。
インストール時に設定したパスワードを入力し、return(Enter)キーを押します。
言語設定の画面が表示されます。「次へ」を選択します。
キーボード入力のレイアウトと入力メソッドを選択します。日本語を入力する場合、「日本語(Mozc)」をおすすめします。選択後、「次へ」を選択します。

Mozcは、Google 日本語入力をベースにしたオープンソースの日本語入力システムです。Linuxをはじめとする複数のプラットフォームで利用可能で、高精度な変換候補と使いやすいユーザーインターフェースを提供します。

位置情報を使用するか選択します。選択後、「次へ」を選択します。
オンラインアカウントに接続するかを選択します。スキップしても構いません。あとで設定することができるので、今回は、「スキップ」します。
以上でLinuxのセットアップは終わりなので、「Debian GNU/Linuxを使い始める」を選択します。

デスクトップが表示されます。

Linuxのセットアップは以上で終了です。

Linuxのシャットダウン方法

最後に、Linuxのシャットダウン方法を説明します。

右上の、「電源」アイコンを選択します。続いて、表示された「電源」アイコンを選択します。
「電源オフ」を選択します。
確認ダイアログボックスが表示されたら、「電源オフ」を選択します。

以上で、Linuxのシャットダウン方法の説明は終わりになります。

まとめ

今回は、下記4点について説明しました。

  1. VirtualBoxのインストール
  2. VirtualBoxで仮想マシンの作成
  3. Linuxのインストール
  4. Linuxのセットアップ

Linuxのインストールは、MacやWindowsと比べてそれほど大きくは異なりません。これまでLinuxをインストールしたことがない方は、今回のブログを参考にして、ぜひ挑戦してみてください。次回以降のブログでは、今回インストールしたDebian Linuxを使用して解説を行います。

これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!

それでは、次回のブログで!

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