今回は、LinuxのテキストエディタとViの使い方について説明します。
Linuxでは、テキスト編集を行うためのエディタが多数存在します。CUI環境ではViやVimが標準的に利用され、軽量かつ強力な機能を備えています。一方で、GUI環境ではVS CodeやGeditなどのエディタが選択肢として挙げられます。
本記事では、Linuxで利用可能なテキストエディタの概要を紹介し、特にCUI環境で広く使われるViの基本的な使い方について詳しく解説します。
また、GUI環境で使用できるVS Codeのインストール方法についても併せて説明します。
ぜひ、最後までご覧いただけると嬉しいです!
Linuxのテキストエディタ
Linuxでは、さまざまなテキストエディタが利用可能です。テキストエディタは、設定ファイルの編集やプログラミング、メモ作成などに不可欠なツールです。本記事では、主要なテキストエディタを紹介し、それぞれの特徴を解説します。
1. Vi
Vi は、Unix 系 OS に標準搭載されている軽量なテキストエディタで、シンプルながら強力な編集機能を備えています。ターミナル上で動作し、キーボード操作のみで効率的にテキスト編集が可能です。
- 切替モード(通常モード、挿入モード、コマンドモード)
- Linuxに標準インストール
- 基本的な検索・置換機能
2. Vim
Vim(Vi IMproved)は、Viエディタを拡張した高機能テキストエディタです。ターミナル上で動作し、ショートカットキーを駆使することで効率的な編集が可能です。
- モード切替(ノーマルモード、挿入モード、ビジュアルモードなど)
- 高度な検索・置換機能
- プラグインによる拡張性
3. Nano
Nanoは、シンプルで初心者向けのテキストエディタです。直感的な操作が可能で、画面下部にコマンドが表示されるため、迷わずに使用できます。
- 直感的な操作性
- マウス不要の簡単な編集
- ショートカットキーが画面下部に表示
4. Emacs
Emacsは、高度にカスタマイズ可能なテキストエディタで、多くの機能を備えています。プログラミングだけでなく、メールの管理やカレンダー機能なども利用できます。
- 柔軟なカスタマイズ(Lisp言語で拡張可能)
- 多機能(ファイル管理、ターミナル、RSSリーダーなど)
- 高度なマクロ機能
5. Gedit
Geditは、GNOMEデスクトップ環境向けのGUIベースのテキストエディタです。シンプルでありながら、コードハイライトやプラグイン機能も備えています。
- GUIでの操作が可能
- シンタックスハイライト対応
- シンプルで使いやすい
6. Kate
Kateは、KDEデスクトップ環境向けの高機能なテキストエディタです。マルチタブ機能やプロジェクト管理機能を備え、開発者にも適しています。
- マルチタブ機能
- プロジェクト管理機能
- シンタックスハイライト対応
Linuxのテキストエディタまとめ
Linuxには多くのテキストエディタがあり、用途や好みに応じて選択できます。ターミナル操作に慣れているならViやEmacs、シンプルなエディタが好みならNanoやGeditが適しています。自分に合ったエディタを見つけて、快適な編集環境を構築しましょう。
Vi の使い方
Vi は、Unix 系 OS に標準で搭載されている軽量なテキストエディタで、シンプルながら高機能な編集ツールです。本記事では、Vi の基本的な使い方について解説します。
1. Vi の起動と終了
起動方法
# Vi を起動してファイルを開く
vi ファイル名

終了方法
挿入モードを使用した場合、「esc」キーを押すと、ノーマルモードに切り替わります。その後、「:(ころん)」をおすと、コマンドモードに切り替わります。モードの説明は後述します。
:q
… 変更がなければ終了:q!
… 変更を破棄して強制終了:wq
またはZZ
… 保存して終了

2. モードの切り替え
Vi には複数のモードがあり、適切に切り替えながら編集を行います。
- ノーマルモード(デフォルトのモード):カーソル移動、テキストの削除やコピーなど、編集の基本操作を行うモード
- 挿入モード(
i
,a
,o
などで切り替え):文字を入力するためのモード - コマンドモード(
:
で移行):ファイルの保存、検索、置換、Vim の設定など、コマンドを実行するモード
文字を入力する際は挿入モードを使用し、コマンドの実行やViの終了時は、Escキーを押してノーマルモードに戻った後、「:」(コロン)を入力してコマンドモードに切り替えます。
3. 基本的な操作
カーソル移動(ノーマルモード)
h
左、l
右、j
下、k
上0
行頭、^
先頭の文字、$
行末gg
ファイルの先頭、G
ファイルの末尾
テキストの編集(ノーマルモード)
テキストの編集は、ノーマルモードの状態で、下記キーボードのキーを入力します。
i
… カーソルの前に挿入a
… カーソルの後に挿入o
… 次の行に挿入O
… 前の行に挿入x
… 1文字削除dd
… 1行削除yy
… 1行コピーp
… 貼り付けu
… 取り消し
検索・置換(ノーマルモード)
ノーマルモードの状態で、下記キーボードのキーを入力します。
/文字列
… 前方検索?文字列
… 後方検索n
… 次の検索結果N
… 前の検索結果:%s/old/new/g
… ファイル全体の置換
4. 応用的な操作
ファイルの編集(コマンドモード)
:e ファイル名
… 別のファイルを開く
設定のカスタマイズ
Viは、カスタマイズすることはできます。ホームフォルダに「.exrc」ファイルを作成し(コマンド:touch .exrc)、そのファイルに記述することでカスタマイズすることができます。カスタマイズ内容は、以下です。
- set number … 行番号を表示
- set showmode … 現在のモードを表示
- set ignorecase … 検索時に大文字小文字を区別しない
- set autoindent … 自動インデントを有効化
- set wrapscan … 検索時にファイルの末尾まで到達したら先頭に戻る
下記画像は、Viをカスタマイズするために、「.exrc」ファイルを編集した内容を表示しています。
私は、上記すべてのカスタマイズを行っています。

単語単位の移動(ノーマルモード)
- w … 次の単語の先頭、または区切りへ移動
- b … 前の単語の先頭へ移動
行単位の移動(ノーマルモード)
- 0 (数字のゼロ) … 行の先頭へ移動
- $ … 行の末尾へ移動
画面単位の移動(ノーマルモード)
- Ctrl + f … 1画面分、下へ移動(ページダウン)
- Ctrl + b … 1画面分、上へ移動(ページアップ)
ファイル全体の移動(ノーマルモード)
- G … ファイルの末尾へ移動
- :行番号 … 指定した行番号へ移動(例::10で10行目へ移動)※コマンドモード
カーソル位置の文字を削除する(ノーマルモード)
- x … カーソル位置の1文字を削除します。
単語を削除する(ノーマルモード)
- dw … カーソル位置から単語の終わりまでを削除します。
- db … カーソル位置から単語の先頭、または区切りまでを削除
行を削除する(ノーマルモード)
- 行数dd … カーソル行から指定した行数分を削除します。 例: 3ddと入力するとカーソル行から3行を含めて3行削除されます。
- d$ … カーソル位置から行末までを削除します。
- d0 … カーソル位置から行頭までを削除します。
削除した内容を元に戻す(ノーマルモード)
- u … 直前の操作を元に戻します。
Vi の使い方のまとめ
Viは、高機能なテキストエディタであり、LinuxやUnix系OSで広く利用されています。本記事では、Viの基本的な使い方から応用的な操作まで解説しました。モードの切り替えやカーソル移動、テキスト編集の基本操作を習得することで、効率的な作業が可能になります。さらに、複数ファイルの編集やカスタマイズ設定を活用することで、より快適な環境を構築できます。Vi/Vimを使いこなし、生産性を向上させましょう。
GUIで使用できるテキストエディタ
クラウドなどでLinuxを使用する場合、基本的にはCUIモードしかないので、上記で説明したViの操作方法を習得するようにしてください。しかし、Linux初めての方は、いきなりViなどのCUIで動くテキストエディタは使いづらいので、ここでは、GUIで使用できるテキストエディタについて説明します。
VS Code(ビジュアルスタジオ コード)
VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoftが提供する高機能なテキストエディタであり、Linuxを含む複数のOSで動作します。直感的なGUIを備え、豊富な拡張機能を利用できるため、プログラミングやスクリプト編集に最適です。
主な特徴
- 多様な拡張機能:マーケットプレイスからさまざまな拡張機能を追加可能です。
- 統合ターミナル:エディタ内でターミナルを開き、コマンドを直接実行できます。
- 高度なコード補完:IntelliSenseによる補完機能で、開発効率を向上。
- Gitとの統合:バージョン管理を簡単に実現。
- リモート開発対応:SSHやコンテナを活用し、リモート環境での編集が可能です。
VS Code のインストール方法
デスクトップで「アクティビティ」を選択し、Firefoxを起動します。

下記URLにアクセスします。または、検索で「VS Code download」で検索します。


自分が使用しているLinuxのディストリビューションに応じて、インストーラーをダウンロードします。この講座でインストールしたLinuxは、Debianなので、「.deb」を選択します。

ダウンロードが開始し、正常にダウンロードが完了すると「完了しました」のメッセージが表示されます。

ダウンロードフォルダにインストーラーがダウンロードされます。

VS Codeのインストールは、端末(ターミナル)からコマンドを使用して実行します。アクティビティを選択し、「端末」を起動します。

下記コマンドを実行してダウンロードフォルダに移動します。「ダウンロード」は、日本語表記で入力してください。su コマンド入力後、インストール時に設定した管理者ユーザー(root)のパスワードを求められるので、入力します。
下記スクリーンショットには、su コマンドの入力と[パスワード入力]は表示されておりません。管理者ユーザーに切り替わった場合、行の最初が「自分のアカウント名」から「root」に変わります。
cd ダウンロード
su
[パスワード入力]
sudo chown _apt /home/username/code_[version]_amd64.deb
sudo apt install ./code_[version]_amd64.deb
下記コマンドについては、後で説明しますが、あらかじめ実行してください。
sudo chown _apt /home/username/code_[version]_amd64.deb

インストールが開始されます。

下記画面で「はい」を選択してください。
なお、「いいえ」を選択した場合の挙動については、確認がとれておりません。引き続き、「はい」を選択した場合のインストール方法について記載します。

VS Codeインストールする前に[sudo chown _apt /home/username/code_[version]_amd64.deb]を実行しなかった場合、インストールが失敗します。私は事前に実行していなかったので、失敗したときの画面を添付しています。
これは、Debian では、apt
コマンドを使ってパッケージをインストールする際、_apt
という専用のシステムユーザーがパッケージのダウンロードおよび検証を行います。
この _apt
ユーザーには セキュリティ上の制限 があり、所有権が root や一般ユーザー (username
) のファイルを読み込めない場合があるからです。事前に実行している場合、下記エラーは発生しません。

[sudo chown _apt /home/username/code_[version]_amd64.deb]を事前に実行している場合、インストールが完了します。

exitコマンドを実行して、管理者ユーザーから抜けます。

VS Codeを起動する場合、端末で下記コマンドを実行します。実行するとVS Codeが起動します。
code
GUIで起動する場合は、「アクティビティ」を選択し、「Visual Studio Code」を選択して起動します。

起動したときの画面です。

以上で、VS Codeのインストール方法の説明は終わりになります。CUIモードのLinuxでは使用できませんが、GUIモードのLinuxの場合、VS Codeは使用できます。
まとめ
今回は、下記3点について説明しました。
- Linuxのテキストエディタ
- Vi の使い方
- GUIで使用できるテキストエディタ
今回は、Linuxで使用できるテキストエディタの種類と、Viの基本的な使い方について解説しました。また、GUI環境で利用可能なVS Codeのインストール方法についても説明しています。Viは軽量で強力なエディタであり、Linux環境での操作に役立ちます。目的に応じて適切なエディタを選び、効率的な編集作業を行いましょう。
これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!
それでは、次回のブログで!