今回も、過去の試験問題を解きながら、試験合格に必要な知識を深めていきます。
今回は、ビヘイビア法について説明します。
是非、最後までご覧いただけると嬉しいです。
ビヘイビア法
マルウェアの検出手法であるビヘイビア法を説明したものはどれか。
ア あらかじめ特徴的なコードをパターンとして登録したマルウェア定義ファイルを用いてマルウェア検査対象と比較し、同じパターンがあればマルウェアとして検出する。
イ マルウェアに感染していないことを保証する情報をあらかじめ検査対象に付加しておき、検査時に不整合があればマルウェアとして検出する。
ウ マルウェアの感染が疑わしい検査対象のハッシュ値と、安全な場所に保管されている原本のハッシュ値を比較し、マルウェアとして検出する。
エ マルウェアの感染や発病によって生じるデータ読み込みの動作、書き込み動作、通信などを監視して、マルウェアとして検出する。
引用:情報処理技術者試験 令和3年 春 午前Ⅱ問13
解答
エ
ビヘイビア法の概要
ビヘイビア法(Behavior-based Detection)は、マルウェアを検出するために、プログラムの動作をリアルタイムで監視・分析する手法です。この方法では、プログラムが実行中にどのような行動を取るかを注視し、特にデータ読み込みの動作や書き込み動作、ネットワークを介した通信などを監視することで、異常な動作パターンを検出します。
たとえば、通常のプログラムで行われない場所への大量のデータ書き込みや、不審な外部サーバーへの通信の試みがある場合、これをマルウェアの兆候として特定します。ビヘイビア法は、シグネチャベースの検出法とは異なり、未知のマルウェアや新たな攻撃に対しても効果的に対応できる強力な検出手法です。
パターンマッチング法の概要
選択肢アの説明は、パターンマッチング法の説明になります。
パターンマッチング法(Pattern Matching)は、マルウェアの検出手法の一つで、既知のマルウェアの特徴的なパターン(シグネチャ)と比較することで、脅威を特定します。この方法では、マルウェアのコードや挙動に特有のバイトパターンや文字列、コード断片をデータベースに保存し、システム内のファイルやプロセスと照合して一致するかを確認します。
たとえば、シグネチャデータベースにあるマルウェアのパターンと、対象ファイルの内容が一致する場合、そのファイルをマルウェアとして検出します。パターンマッチング法は、既知のマルウェアの検出に対して高い精度を持つ一方で、新種や未知のマルウェアには対応できないという限界があります。そのため、通常は他の検出手法と併用して使用されます。
チェックサム法の概要
選択肢イの説明は、チェックサム法の説明になります。
チェックサム法(Checksum-based Detection)は、マルウェアの検出手法の一つで、ファイルやプログラムの整合性を確認するために使用されます。この方法では、正常な状態のファイルやプログラムのデータに基づいて計算されたチェックサム(ハッシュ値)を基準として保存しておき、後にそのファイルやプログラムが変更されていないかを検証するために再計算したチェックサムと比較します。もしチェックサムが一致しない場合、そのファイルは不正に改変された可能性が高く、マルウェア感染の疑いがあります。チェックサム法は簡単で迅速に整合性を確認できるため有用ですが、ハッシュ衝突やファイルの部分的な変更に対する検出能力が限られるため、より高度な手法と併用して使用されることが一般的です。
コンペア法の概要
選択肢イの説明は、コンペア法の説明になります。
コンペア法(Compare-based Detection)は、マルウェアの検出手法の一つで、既存のシステムファイルやプログラムを基準として、新しいファイルやプログラムとの相違点を比較することで脅威を特定します。この方法では、システムの正常な状態を示すファイルやプログラムのコピーを保存し、定期的にこれらと現在のシステムのファイルを比較することで、変更や不正な改ざんの有無を検出します。
たとえば、システム内の実行ファイルや設定ファイルが意図せず変更されている場合、それがマルウェアによるものかもしれないと判断します。コンペア法は、既知のシステムの正常な状態を前提とするため、未知のマルウェアや新しい攻撃手法に対しても有効ですが、基準となるデータが正確で最新であることが必要です。また、変更の詳細を追跡できる一方で、すべての変更が必ずしもマルウェアによるものではないため、誤検出のリスクも伴います。
その他の検出手法
ヒューリスティック法
ヒューリスティック法(Heuristic-based Detection)は、マルウェアの検出手法の一つで、既知の脅威のパターンに基づくだけでなく、未知のマルウェアを推測して特定するために使われます。この方法では、ファイルやプログラムのコードを分析し、その中に含まれる不審な構造や命令、典型的なマルウェアの動作パターン(例えば、自己複製やシステムコールの不正な利用など)を検出します。ヒューリスティック法は、コードのエミュレーションやシミュレーションを行い、潜在的な悪意ある動作を事前に評価することで、既知・未知の脅威の両方に対して高い検出能力を持ちます。ただし、未知の攻撃に対して敏感である一方で、誤検出の可能性があるため、通常は他の検出手法と組み合わせて使用されます。
機械学習ベースの検出法
機械学習アルゴリズムを利用して、膨大なデータセットから悪意のある行動やパターンを学習し、新しいマルウェアを検出する手法です。特徴量(ファイルの構造、API呼び出しパターン、ネットワーク通信など)を用いてモデルを訓練し、リアルタイムでマルウェアの可能性を判定します。機械学習ベースの検出は、未知のマルウェアや変種のマルウェアを高い精度で検出する能力を持ちます。
サンドボックス法
サンドボックスと呼ばれる仮想環境で疑わしいファイルやプログラムを実行し、その動作を観察・分析する手法です。サンドボックス内でマルウェアが通常の環境のように振る舞うことで、その行動を詳しく解析し、システムに影響を与える前に検出します。この方法は特にゼロデイ攻撃や未知のマルウェアに対して有効です。
レピュテーションベースの検出法
ファイル、URL、IPアドレスなどの「信頼性スコア」(レピュテーション)に基づいてマルウェアを検出する方法です。この手法では、ファイルやドメインの過去の利用履歴、他のユーザーからのフィードバック、ベンダーのデータベース情報を使用して、信頼性を評価します。信頼性の低いオブジェクトは、マルウェアとしてマークされます。
メモリ検査法
システムのメモリ内にロードされているプロセスやコードを監視・分析し、悪意のあるコードの注入や実行を検出する手法です。ファイルレスマルウェアのようなディスクに書き込まれない形で攻撃を仕掛けるマルウェアに対して有効で、メモリ上で不審な動作をするプロセスをリアルタイムで検出します。
ホワイトリスト法
信頼できるファイルやアプリケーションのリスト(ホワイトリスト)を作成し、それ以外のファイルやアプリケーションの実行をブロックする方法です。この方法は、既知の安全なアプリケーションだけを許可し、それ以外の不明なプログラムを実行させないという厳格なセキュリティポリシーに基づいています。
エミュレーション法
ファイルを仮想的な実行環境でエミュレート(模擬実行)し、その振る舞いを観察する手法です。サンドボックス法と似ていますが、より軽量な仮想環境で動作し、迅速にマルウェアの動作を予測することを目的としています。
これらの手法は、単独で使用されることもありますが、通常は複数の手法を組み合わせて使用することで、マルウェア検出の精度を高め、様々な種類の脅威に対抗するために活用されます。
まとめ
今回は、下記について説明しました。
- ビヘイビア法
ビヘイビア法(動作ベースの検出)は、プログラムの実行中の動作をリアルタイムで監視・分析し、異常な行動パターンを検出することでマルウェアを検出する手法です。データの読み書きやネットワーク通信などを特に注視します。
これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!
それでは、次回のブログで!