今回から、Adobe Premiere Pro初心者の方に向けて、YouTube用動画編集と公開までを4回に分けて説明します。
私は、仕事柄、Adobeソフトの講習を行っています。その経験を活かして、Adobeソフトの操作方法について説明します。
昔と比べて動画編集の敷居はかなり低くなっている印象です。理由は、様々な媒体で動画編集の方法が説明されているからです。私も仕事柄、動画編集を行うことがありますが、基本、動画の切り貼りと効果エフェクトの追加でかんたんな動画は作成できます。
是非、これから動画編集を始めたい方は、このブログを見ながら始めてください!
動画の編集手順
まずは、動画の編集手順です。
- 素材(動画、音楽、画像等)の準備
- プロジェクトの作成
- 素材の読み込み
- シーケンスの作成
- 素材を切り貼りする
- テロップ等の装飾を行う
- プレビュー確認
- 動画の書き出し
上記が、動画の編集手順です。
予め素材となる、動画や音楽、画像等を準備しておきます。Premiere Proでは、素材のことを「クリップ」と呼びます。
YouTube動画の仕様
今回は、YouTube用の動画を作成します。一般的なYouTube動画の仕様は下記になります。
- 解像度:1080p
- コンテナ:MP4
- 動画コーデック:H.264
- 音楽コーデック:AAC-LC
- フレームレート:30fps
上記になります。
上記内容は、YouTubeヘルプに記載されています。リンクはこちら!
解像度
解像度とは、動画サイズになります。いろいろなサイズがあります。上記の1080pは、「横1920px 縦1080px」になります。一般的な動画を作成する場合は、この解像度を使用します。それ以外に、
- 720×480px(SD)
- 1280×720px(HD)
- 1920×1080px(フルHD)
- 2560×1440px(WQHD)
- 4096×2160px(4K)
- 7680×4320px(8K)
解像度が大きくなると、動画ファイルの容量も大きくなります。
解像度を決める基準としては、その動画を何で再生するかがポイントになります。
例えば、一般的な32型のテレビの解像度は「1366 x 768px」になりますので、「1080p」の動画を再生した場合、綺麗に表示されます。
逆に、1080pの動画を4Kテレビで再生すると、サイズの関係は、「動画 < テレビ」になるので、全画面表示などで再生すると、若干動画がボケた感じになります。
このように、動画のサイズを決める際、どのサイズのテレビ又はディスプレイで再生されるのかが一つのポイントになります。
現状、圧倒的に使用されているディスプレイは、「1920×1080px(フルHD)」になるので、1080pで作成するのが一般的です。
コンテナ
コンテナとは、動画の形式の事を言います。動画といっても、動画は、「映像 + 音楽」で構成されており、この「映像」と「音楽」にも様々な種類があります。この、様々な「映像」と「音楽」の組み合わせをコンテナと呼びます。また、コンテナの種類がファイルの拡張子になります。
コンテナの種類としては、
- MPEG4(mp4)
- MOV(mov)
- AVI(avi)
- WMV(wmv)
- MKV(mkv)
等があります。
どのデバイス、OSでも使用できるコーデックは、「MPEG4(mp4)」になります。動画を作成する際は、このコンテナが使用されます。
動画コーデック
動画コーデックとは、動画データを圧縮、復元するソフトウェアのことをいいます。動画は、パラパラ漫画と同じで静止画の集合体です。よって、動画データは容量が大きくなるので、それを一旦圧縮して再生時に復元することで動画が再生されています。その圧縮/復元する時のルールがコーデックです。
例えば、通常のパソコンのファイルをメールで送る時など、圧縮ツールを使って圧縮しておりますが、それと同じです。ファイルの圧縮方法としては、「zip」や「tar」等様々な種類がありますが、動画にも様々な圧縮/復元方法があります。それが、動画コーデックなります。
動画コーデックの種類としては、
- H.264/MPEG-4
- H.265/HEVC
- MPEG-1
- MPEG-2
- MPEG-4
上記、様々な種類があります。「H.264/MPEG-4」は、圧縮率も高く、画質も綺麗なので、広く使われている動画コーデックになります。
音楽コーデック
音楽コーデックとは、音楽データを圧縮、復元するソフトウェアのことをいいます。音楽コーデックも、基本的には動画コーデックと同じですので、説明を省きます。
音楽コーデックの種類は、
- MP3
- AAC
- WMA
- AC3
などがあります。「AAC-LC」は、高品質な音楽コーデックになります。
フレームレート
フレームレートとは、1秒間に何枚の画像を再生するかの単位になります。「fps」は、「frames per second」の略です。フレームレートにも様々な種類があり、動画の種類によって変わります。
- 24fps:映画
- 30fps:通常のテレビやDVD
- 60fps:4Kや8KのテレビやDVD
このように、フレームレートは、動画の用途によって変わります。一般的な動画の場合、「30fps」をよく使用します。
事前準備
今回使用するファイルをダウンロードしておいてください。自分で撮影した動画を使用して頂いても結構です。動画ファイルは複数になるので、zip形式で圧縮しています。ウィルスチェック実施済みです。ダウンロードしたファイルは、解凍して任意の場所に保存してください。
※本ブログでは、解凍したフォルダ名を「サンプル動画」に変更しています。
初期画面
Adobe Premiere Proを起動すると、下記画面が開きます。
新規プロジェクト作成
画面左上の「新規プロジェクト」を選択します。
プロジェクト名を入力し、プロジェクトを保存する先を指定します。その後、保存を選択します。
初期画面が開きます。今回、「学習パネル」は使用しないので、「学習」左側のアイコンを選択し、閉じます。
各種パネル
初期画面は6つのパネルで構成されております。
- ソースモニター
- プログラムモニター
- プロジェクトパネル & メディアブラウザー
- ツール
- タイムライン
- オーディオメーター
1.ソースモニター
ソースモニターは、動画に使用する素材を編集するパネルです。主に、動画や音楽の切り取り(トリミング)等編集作業を行います。ソースモニターで編集した素材を、タイムラインパネルに配置することもできます。
2.プログラムモニター
プログラムモニターは、タイムラインパネルで編集した動画を確認するモニターです。動画全体のトリミング等を行います。
3.プロジェクトパネル & メディアブラウザー
動画で使用する素材を管理するパネルです。このパネルからタイムラインパネルに素材をドラッグ&ドロップで配置します。
4.ツール
ツールは道具のパネルです。ツールをクリックすることで、ツールを切り替えることができます。素材を選択する際は、一番上のツール、選択ツールを使用します。
5.タイムライン
タイムラインは、素材を時間軸に合わせて配置するパネルです。タイムラインの中に映像トラック(V1〜)と音楽トラック(A1〜)があり、階層構造になっています。数字が高くなると、上の階層になります。
6.オーディオメーター
再生中の動画や音楽のオーディオの音量を確認することがパネルです。別々の動画を使用する際、音量レベルが違うことがあるので、オーディオメーターを使用して各動画の音量を客観的に確認します。
各パネルの使用順序
各パネルの使用順序は下記になります。
- プロジェクトパネルから素材を読み込む
- ソースパネルで素材の切り取り(トリミング)等を行う
- 編集した素材をタイムラインパネルに配置する
- 動画全体の調整をプログラムパネルで行う
上記流れになります。よって、下記のようにNの順番で編集します。私はこれを「Premiere ProのN編集」と呼んでいます。
素材の読み込み
それでは、実際に動画の編集を行っていきます。まずは、先程ダウンロードした素材の読み込みです。素材の読み込み方法をいくつかありますが、今回はメニューバーから行う方法を説明します。
1.ファイルメニューの読み込み
「ファイル」メニューの読み込みを選択します。
キーボードショートカットは、Macの場合「⌘(コマンドキー) + i」、Windowsの場合「ctrlキー + i」です。
2.素材選択
ダウンロードした素材をshiftキーを押しながら全て選択し、読み込みを選択します。
プロジェクトパネルに素材が読み込まれます。
今回、素材を個別で選択していますが、フォルダ毎で読み込むことも可能です。素材が多い場合等は、素材の種類毎、例えば、「動画」「音楽」「画像」等で分けておくと編集がしやすいです。
3.プロジェクトパネルの使い方
素材の表示方法
素材の表示方法は、下記3つあります。
- アイコン
- リスト
- フリーフォーム
アイコン
アイコン表示は、素材のプレビューが表示されるので、視覚的に素材を確認することができます。
リスト
リスト表示は、素材がリストで表示されます。一番左側のタイルの色で素材の種類を分類しています。
フリーフォーム
フリーフォーム表示は、素材の並び順等をフリーで編集することができます。また、右側のスライダーを使用すると、素材の大きさを変更できます。
アイコンの並び替え
アイコン表示を使用していいる際、素材の属性で並び方を変更することができます。
新規項目
新規素材を作成する際は、新規項目を使用します。
検索
素材の検索機能です。素材が多くなった場合、様々な属性で素材を検索することができます。
新規ピン
素材を分類する為、新規ピンを作成することができます。ピンとはフォルダのことです。
シーケンスの作成
動画を編集する際は、シーケンスを作成します。シーケンスとは、素材ファイルを管理している動画の土台となるファイルです。例えば、この素材の何秒目までを使用する等の情報を保存・管理しているファイルです。では、実際にシーケンスを作成する手順を説明します。
1.新規シーケンス
「ファイル」メニュー→「新規」→「シーケンス」を選択します。
2.プリセットの選択(AVCHD 1080p30)
プリセットを選択します。プリセットとは、様々な設定の組み合わせです。プリセットは、多くの種類がありますが、YouTube動画を作成する場合、「AVCHD 1080p30」を使用しますので、選択し、「OK」を選択します。
シーケンスを作成すると、「プロジェクト」パネルにシーケンスファイルが作成され、「タイムライン」パネルと「プログラム」パネルにシーケンスが読み込まれます。
素材からシーケンスを作成する方法
素材動画からシーケンスを作成する方法もあるので、説明しておきます。
プロジェクト内素材動画を右クリックして、「クリップに最適な新規シーケンス」を選択すると、動画サイズに合わせてシーケンスを作成できます。動画を撮影する際、事前にサイズ指定を行った場合、そのサイズでシーケンスが作成できます。
「クリップに最適な新規シーケンス」でシーケンスを作成した場合、その素材動画がタイムラインパネルに配置されておりますが、不要な場合削除(deleteキー)します。
素材の編集
それでは、実際に素材の編集方法について説明します。今回は、動画の切り取り(トリミング)を行います。
1.素材の読み込み
素材の編集を行っていきます。プロジェクトパネルから「01Movie.mp4」をダブルクリックします。すると、ソースパネルに素材が読み込まれます。
2.ソースパネルの使い方
ソースパネルの使い方について説明します。今回は、よく使用する機能のみ説明し、他の機能については、今後別のブログで説明します。
再生ヘッドの位置
動画が再生されている位置を表しています。左から、時間、分、秒、フレームという順番になっています。再生ヘッドを指定する場合、選択するとテキスト入力に変わります。
フレームは、シーケンスを作成する際、30フレームで指定をしたので、30になると1秒カウントアップされます。
再生ヘッドを指定する際、下記のように指定します。小数点以下は、フレームを指定します
- 1.01:1秒目の1フレーム目
- 1.10:1秒目の10フレーム目
- 5:0秒5フレーム目
- 5.0:5秒目
- 0:0秒目(動画の最初)
上記のように、整数だけで指定した場合、フレームを指定したことになるので注意してください。
ズームレベル
拡大率を指定します。矢印を選択すると、倍率が表示されます。
解像度
素材の解像度を指定します。解像度を高くすると、パソコンに負荷がかかります。パソコンの動作が遅い場合等は、解像度を下げます。
ヂュレーション
ヂュレーションとは、間隔という意味で、動画の長さを表示しています。「01Movie.mp4」の場合、20秒26フレームの動画という意味です。
再生ヘッド
素材が再生されている位置です。
マーカー
素材にマーカーをつけたい時に使用します。例えば、動画のここから使用する等のマークを付ける際に使用します。
インをマーク
動画の開始位置を指定します。動画の切り取り(トリミング)を行う際、動画の最初の部分が不要な場合、インをマークを使用すると、その部分までが削除されます。
アウトをマーク
動画の終了位置を指定します。アウトをマークを使用すると、それ以降の部分が削除されます。
再生
動画を再生する際使用します。
3.動画のトリミング
それでは、動画のトリミング(切り取り)を行ってきます。
まずは、動画を再生して確認します。
左下、再生ヘッドの位置を選択して、0と入力後returnキー(エンターキー)を押します。
再生ヘッドが「0秒目(最初)」になります。
再生を押して、動画を確認します。
「01Movie.mp4」は、「20:08」(20秒8フレーム)で、1匹の猫から、複数の猫の動画に変わるので、今回この動画は、「20:07」(20秒7フレーム)で動画を切り取ります。
ソースパネル左下のタイムコードの位置を選択し、テキストに変更後、「20.07」と入力します。
すると、再生ヘッドが20秒7フレーム目に移動します。
20秒7フレーム目をこの動画の最後にするので、「アウトをマーク」を選択し、それ以降のフレームを削除します。
すると、20秒7フレーム目までで動画切り取られ、ヂュレーション(動画の長さ)の値が変更されます。
タイムライン配置
トリミングした動画をタイムラインに配置します。再生ヘッドが先頭にあることを確認し、ソースパネルの動画をドラッグして、タイムラインパネルの「V1」部分に配置します。下記動画で確認してください。
このように、動画のトリミングは、「インをマーク」や「アウトをマーク」を使用し、動画の必要部分を切り取り後、タイムラインパネルに配置するという流れになります。
まとめ
今回は主に、動画の基礎知識と基本的なパネルの説明を行いました。今回説明した内容は下記になります。
- 動画の編集手順
- 動画の仕様
- 事前準備
- 初期画面
- 新規プロジェクト作成
- 各種パネル
- 素材の読み込み
- シーケンスの作成
- 素材の編集
次回も引き続き、動画編集を行っていきます。
これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!
それでは、次回のブログで!