今回は、Cloud Identityの基本的な知識である、「組織」「グループ」「ユーザー」について説明します。
「組織」「グループ」「ユーザー」のことを「ディレクトリ」と呼びます。Cloud Identityでは、各ディレクトリに対して、様々なポリシーを適用することができます。
今回は、これら3つの概念と実際の作成方法を説明します。
組織
組織とは、同じポリシーを適用するまとまりです。Cloud Identityのディレクトリは下記のような構造になっています。会社の組織と比較するとイメージしやすいので、横に載せております。
上の図では、組織を横並びにしていますが、組織Aの下に組織A-1、組織A-2という組織をもたせることができます。逆に、組織を作成しなくてもよいです。「hajimenoit.com」の下に、グループやユーザーを配置することもできます。
要は粒度、より細かくしたい場合に組織というまとまりを作成し、その組織ごとにCloud Identityのポリシーを適用します。
組織の作成方法
それでは、実際に組織の作成方法について説明します。
1.組織部門の作成
管理コンソールで「ディレクトリ」→「組織」を開き、「組織部門の作成」を選択します。
2.組織の作成
「組織部門の名前」を入力し、「作成」を選択します。名前には、アルファベットも使用できます。
組織が作成されると、トップの「はじめのiT株式会社」の下に「総務部」が作成されます。
グループ
グループとは、メンバー間で共同で作業を行ったり、アプリ/サービスにおいて、同じ設定を施すまとまりです。
グループを使用すると下記のようなことができます。
- メーリングリストとして、メールの送受信ができる
- グループ全員を会議に招待する
- メンバー間で制作物を共有する
- メンバー間でディスカッションを行う
グループの作成方法
それでは、実際にグループの作成方法について説明します。
1.グループを作成
管理コンソールで「ディレクトリ」→「グループ」を開き、「グループを作成」を選択します。
2.各項目の入力
各項目の入力を行います。
- グループ名(必須)
グループ名は、グループを識別する名前です。名前から、なんのグループかわかりやすくすることで、認識しやすくなります。アルファベットも使用できます。 - グループのメールアドレス(必須)
グループのメールアドレスです。半角英数記号で設定します。グループ名と同じにすることおをオススメします。 - グループの説明(任意)
グループに関する説明を入力します。 - グループのオーナー(任意)
グループのオーナーを指定する際は設定します。オーナーについては、次の「グループ設定」で説明します。 - ラベル(任意)
セキュリティラベルを指定するか設定します。※
各種項目入力後、「次へ」を選択します。
セキュリティラベル
セキュリティラベルを設定すると、セキュリティグループとして使用できます。セキュリティグループの用途には、下記のような特徴があります。
- セキュリティグループのみが他のセキュリティグループに入ることができる※
※グループには、ユーザー以外に他のグループを入れることができます。 - セキュリティグループの親メンバーのみがセキュリティグループに入ることができる
- Googleアプリ等を制限するポリシーを指定した際の目印として使用できる
- 条件を満たしたユーザー等を自動で追加する自動グループを無効にできる
3.アクセスタイプ
アクセスタイプを選択します。アクセスタイプは、Cloud Identityが予め用意しているセットです。基本的には、自分でカスタマイズするので、「カスタム」になることが多いです。青い背景のチェックは、オン/オフが可能で、「グループのオーナー」の欄にあるグレーの背景(グループのオーナーに連絡できるユーザー、会話を閲覧できるユーザー、メンバーを表示できるユーザー)のチェックは、外すことができません。
グループのロール
グループのロールには、下記3つがあります。
- オーナー
- 管理者
- メンバー
上記ロール以外に、組織として下記2つがあります。
- 組織全体
- 外部
オーナー
オーナーには、グループにおける全ての権限があります。オーナーのみが行える操作には、下記のようなものがあります。
- グループを削除する
- 他のグループメンバーをオーナーにする
- 他のオーナーの設定を変更する
- Google データ エクスポートを使用してグループのメッセージを書き出す
グループの設定を変更することができるのは、オーナーだけではなく、マネージャー(管理者)も行うことができます。
管理者
管理者は、グループの設定を変更することができ、その権限の割当に対し、管理者を含めることができます。ちなみに、上記アクセスタイプの画面では、「グループの管理者」ですが、実際のグループ画面では、マネージャーと表記されています。管理者ができる操作には、下記のようなものがあります。
- グループを削除する
- 他のグループメンバーをオーナーにする
- オーナーの役割または登録設定を変更する
メンバー
上記以外が、メンバーになります。メンバーには、基本的な権限が付与されています。
組織全体
組織全体は、例えば、「hajimenoit.com」組織の全メンバーを指しています。
外部
外部は、例えば、「hajimenoit.com」組織以外の全メンバーを指しています。
アクセス設定
アクセス設定には、下記5つがあります。
- グループ オーナーに連絡できるユーザー
- 会話を閲覧できるユーザー
- 投稿できるユーザー
- メンバーを閲覧できるユーザー
- グループに参加できるユーザー
グループ オーナーに連絡できるユーザー
グループ オーナーに直接メールを送信できるユーザーを指定します。グループメールアドレスでメールを受信したい場合、外部にチェックを入れるとメールを受信できます。メール送信は、どのアクセス設定に関わらず行うことができます。
会話を閲覧できるユーザー
グループに投稿された会話を閲覧できるユーザーを指定します。これは、Google チャットとは別の機能で、グループ内で会話や承認等のワークフローを行う機能になります。
投稿できるユーザー
グループへの会話を公開できるユーザーを指定します。
メンバーを閲覧できるユーザー
グループ メンバーを閲覧できるユーザーを指定します。
グループに参加できるユーザー
グループへのユーザー追加、ユーザーの招待、リクエストの承認を行えるユーザーを指定します。
4.グループに参加できるユーザー&組織外
グループに参加できるユーザーと組織外のユーザーを設定します。
グループに参加できるユーザー
- 組織内のすべてのユーザーがリクエストできる:組織内のユーザーは、参加リクエストが承認されるとグループに参加できるようになります。
- 組織内のすべてのユーザーが参加できる:組織内のユーザーは、グループに自分を直接追加できます。
- 招待されたユーザーのみ:ユーザーは、招待された場合にのみグループに参加できます。
組織外のメンバーの許可
外部ドメインユーザーをグループに参加できるかの設定です。例えば、「@hajimenoit.com」以外のユーザーを参加できるかを指定します。
上記設定後、「グループを作成」を選択します。
5.グループ作成
グループが正常に作成されると、下記画面のように「作成しました」のメッセージが表示されます。
「完了」を選択します。
6.グループ作成完了
グループ一覧にグループが追加されます。
まだ、このグループにはメンバーがいませんので、引き続きグループにメンバーを追加します。
7.グループ選択
作成された「経理グループ」を選択します。
8.メンバー追加を選択
左のメニューから「メンバーを追加」を選択します。
9.メンバー追加
テキストボックスに該当メンバーのメールアドレスを入力すると、候補が表示されるので、メールアドレスを選択します。
メンバー選択後、「グループに追加」を選択します。
正常にメンバーが追加されると、直接的なメンバーにメンバー数が表示されます。
以上が、グループの作成からメンバーの追加までとなります。
ユーザー
ユーザーとは、Cloud Identityのユーザーであり、最小単位になります。Cloud Identityは、ユーザーを作成し、グループに入れたり、組織に入れたりして、ポリシーを設定します。
ユーザーの作成方法
それでは、実際にユーザーの作成方法について説明します。
1.新しいユーザーの追加
管理コンソールで「ディレクトリ」→「ユーザー」を開き、「新しいユーザーの追加」を選択します。
2.ユーザー情報
ユーザー情報を入力します。入力項目には、必須項目と任意項目があります。
- 姓(必須):姓を入力します。
- 名(必須):名を入力します。
- メインのメールアドレス(必須):Cloud Identityで使用するメールアドレスを入力します。実際にメールが受信できる必要はありません。
- 予備のメールアドレス(任意):「メインのメールアドレス」でメールが受信できない場合、受信ができるメールアドレスを入力します。
- 電話番号(任意):電話番号を入力します。
- Password(必須):自動作成又は任意でパスワードを作成できます。なお、Cloud Identityのポリシーで初回ログイン時にパスワード変更を強制することができます。こちらについては、別のブログで説明します。
上記入力後、「新しいユーザーの追加」を選択します。
3.新しいユーザーの作成完了
正常に新しいユーザーが作成されると、下記画面が表示されます。パスワードを自動生成した場合、パスワードをコピーします。なお、ここでパスワードのコピーを忘れても、ディレクトリのユーザーで変更することは可能です。
パスワードのコピー後、「完了」を選択します。すると、ユーザー画面で新しいユーザーが追加されていることを確認します。パスワードは、使用者に通知します。
以上で、ユーザーの作成方法は終わりになります。
まとめ
本日は下記について説明しました。
- 組織
- グループ
- ユーザー
Cloud Identityで使用する上で、ディレクトリである、組織、グループ、ユーザーは最も基本的な知識の一つです。是非、本ブログで抑えてください。Cloud Identityでは、これらディレクトリに各種ポリシーを適用します。そちらについては、別のブログで紹介します。
これからも、Macのシステムエンジニアとして、日々、習得した知識や経験を発信していきますので、是非、ブックマーク登録してくれると嬉しいです!
それでは、次回のブログで!